コンプライアンス

法令遵守。法律や倫理に従うこと。

【使用例】
『当社の課題としてコンプライアンス体制の確立が急務である。』

ビジネス上では企業コンプライアンス、企業の法令遵守の意味で使われる。企業がルールに従って公正・公平に業務を遂行すること。不祥事抑止のための企業倫理や企業の社会的責任についての前提となる考え方。

コンプライアンスとは、法令遵守のことです。
本来的には、要求・命令などに、従うこと、応じること、順守することなどの意味を持つ言葉ですが、ビジネス用語としてコンプライアンス(企業コンプライアンス)=法令順守、を用いる場合は、企業がルールに則って、公正・公平に業務を遂行すること、を意味します。
この場合のルールとは、明文化された法律・法令や条例のみならず、倫理や道徳、規範、社会的通念なども含むと解釈されます。

コンプライアンスが声高に叫ばれるようになった背景には、1990年半ばから2000年代にかけて、企業不祥事が頻発したことがあります。
違法行為や倫理・規範の欠如などに端を発する企業不祥事は、消費者からの信用失墜やブランドイメージの低下を招き、また刑事罰を受けることなどにより、企業に大きなダメージを与えます。
最悪の場合、事業破たん、企業倒産といった事態を引き起こしかねません。
このような不祥事を、将来的なリスクまで含めて未然に抑える、いわばリスクマネジメントのひとつとしての意味合いも込めて、コンプライアンスは重要視されているわけです。

コンプライアンスに反する企業不祥事には、様々な事例があります。
個人情報の漏えいや目的外使用、リコール隠し、商品の不当表示、所得隠しや粉飾決算、総会屋等への利益供与、過剰なサービス残業や過労死、セクハラ、パワハラ等の各種ハラスメント等々、枚挙にいとまがなく、私たちも日々のニュースでしばしば目にするところでもあります。
この種の不祥事を起こす企業は、もちろんコンプライアンスなどどこ吹く風の悪徳企業・ブラック企業が多いのですが、しかし残念ながら、誰もが知っている有名企業のコンプライアンス違反の不祥事も少なくはありませんよね。

コンプライアンスへの取り組みは、業界や企業によって温度差がありますが、コンプライアンス対策の責任者を置き、その責任者のもとで、行動基準の策定とルールの確立、マニュアルの作成・整備などを行ない、社員への教育・周知を実施するのが一般的です。
また、コンプライアンス経営の促進のためには、内部通報制度も重要な役割を果たすのですが、やはりいまの日本の企業社会では、内部通報者は「公益ために貢献した者」というよりも「組織の恥部を暴露した裏切り者」という扱いをされ、不利益を被ることが多いようです。
公益通報者保護法により、内部通報者の法的保護が図られてはいますので、同法の趣旨を徹底をさせていくことが肝要です。

ちなみに医療の分野でコンプライアンスといえば、服薬遵守、処方された薬剤を医師の指示に従って服用すること、を意味します。薬も法令も遵守するべきは、きちんと遵守しなければ、あとで大変な副作用に見舞われる可能性があるということですね。