エビデンス

証拠、証言、形跡。

【使用例】
『水掛け論になると困るから、きちんとエビデンスを取っておいてください。』

客観的に証明できる書類やデータなどの証拠。ビジネスでは後のトラブル防止のために保全しておく証明手段である。IT業界では、開発したシステムが正常作動することの検証結果に用いる。臨床結果などの科学的根拠。

エビデンスとは、証拠、根拠、証言、痕跡、形跡などの意味を持つ単語です。
ビジネス・学術などの分野で用いられていますが、業界や分野によって、意味合いが異なります。

ビジネス用語としては、主に後々の契約トラブルなどを防ぐために保全しておく、証拠や証明、具体的には、書類やデータ、メール、映像・録音記録などを指すのが一般的です。
契約書や見積書、納品書、商談におけるビジネスメール、あるいは請求書、領収書等々がそれに当たるでしょうか。気心の知れた取引先なら心配いらないでしょうが、初めての相手やよく知らない先と取引する場合は、取引過程のエビデンスは残しておきたいものです。

IT業界では、取引過程の記録の他に、開発・変更したシステムが仕様通り正常に作動することを証明する、検証結果資料やデータファイルをエビデンスと称しています。

金融業界では、融資などの際に必要となる、運転免許証や源泉徴収票、住民票、銀行預金通帳の各コピーなど公的な証明書をエビデンスといいます。
また、海外送金は、以前なら送金目的や送金額などを送金用紙に記せばOKでしたが、最近は送金目的や資金の出所を証明するエビデンスが求められるようです。

医療分野では、「エビデンスに基づいた治療」「エビデンスのある薬」などという言い方をします。
「エビデンスに基づいた治療」は、臨床結果などの科学的根拠によって有効と証明されている治療で、相対的に最も効果のある治療法を選ぶ際の指針とされます。
「エビデンスのある薬」とは、科学的証拠により効果が確かめられた薬です。そしてこの薬の効果のエビデンスを得る手段のひとつが、いわゆる治験です。
これは、基準に適合した人に服薬してもらい、データを集める臨床試験、有体に言ってしまえば、新薬の人体実験です。

さてこの治験、高額バイトの代表選手としても知られています。
通院・入院など、タイプがありますが、入院タイプだと、「決められた時間に決められた量を服薬」する以外、入院期間中は一日中、漫画やDVD見放題、ゲームやり放題、好きなように過ごして高額の日当がもらえます。
しかし、当然ながら「おいしい」ばかりではありません。肉体的採用基準もあり、競争率も高く、また首尾よく採用されても、厳格な健康管理があったり、稀に副作用がでたり、海外では死亡例もあります。
「おいしいバイト」の代名詞のように言われていますが、内情はなかなか大変なようです。

ちなみに治験の参加者はアルバイトではなく、有償ボランティアという位置づけだそうです。ですからもらうお金もバイト料ではなく、協力費・負担軽減費です。
つまり、あくまでも「金に釣られて人体実験に参加する者」ではなくて、「医学の進歩に貢献するため、新薬のエビデンス獲得に協力してくれる有志」ということなのですね。

食品業界では、特定保健用食品は、実験データに基づくかなり厳格なエビデンスが求められますし、栄養機能食品も、特定の栄養素を基準値以上に含んでいる必要があります。
しかし、これら保健機能食品以外の「いわゆる健康食品」に呼ばれるものについては、基準もゆるく、かなり怪しげなエビデンスもあるようです。