減価償却

事業に用いられる建物や設備、機器、車両などの固定資産は、使用や経年によって、その価値が減少していきます。
このような資産を減価償却資産といい、減価償却とは、この減価償却資産の価値の減少分を、その耐用年数に応じ、決められた計算方式に従って、費用に算入する会計処理のことです。10万円以上の資産が対象になります。
*青色申告を行っている中小企業者や個人事業主の場合は、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、全額を(同年度または同年に)減価償却費として費用計上することが認められる、少額減価償却資産の特例が設けられています。

減価償却の対象となる固定資産は、資産ごとに細かく法定耐用年数が定められています。
例えば、同じ建築物でも、鉄筋コンクリート造なら50年、木骨モルタル造ならば22年、ですし、他にも一般的な自動車ならば6年、パソコン4年、複写機5年、エアコン6年などとなっています。
また形のあるモノだけでなく、無形固定資産にも耐用年数が定められています。
特許権8年、営業権5年、意匠権7年、商標権10年などです。
さらに、無生物だけでなく、動・植物も減価償却の対象となります。
その法定耐用年数は、競走馬4年、豚3年、桃樹15年、栗樹25年、柿樹36年などとされています。

減価償却の計算には、主に定額法と定率法があり、どちらかを選択できます。

定額法は、固定資産の購入費を耐用年数期間中、毎年均等額ずつ減価償却していく方法です。
計算方法としては、減価償却費=取得価額×定額法の償却率、となります。単純に耐用年数で割り切れない購入額になる場合も多いので、耐用年数ごとに税法で定められた、定額法の償却率を使って計算します。
無形固定資産の減価償却については定額法だけが認められています。
また、平成28年度4月1日以後に取得された建物と建物付属設備、長期的に使用される構築物については定率法が廃止され、定額法に一本化されます。

定率法は、固定資産の購入費の未償却残高に、耐用期間中、毎期一定の率をかけて減価償却額を計算する方法です。
計算方法としては、減価償却費=未償却残高×定率法の償却率となります。毎年御一定の率で減価償却するので、償却費は初年度に高く、その後低減していきます。
また、定率法の償却率に基づく償却額が償却保証額に達しなくなった年からは毎年、定められた保障率による最低保証額を償却費とすることになります。

資産であっても、経年により価値が減少しないものは、減価償却しません。これらは、非減価償却資産と呼ばれ、土地や借地権などの土地に存する権利、書画、骨董、絵画などの美術品、有価証券などが該当します。