インフレーション(インフレ)とは、物価水準が継続的に上昇し続け、貨幣の価値が下落していく状態のことです。
以前は、一般に市場の需給バランスを超えて通貨の量が増加した時に起きる現象とされていましたが、現在ではその他の様々な要因によってもインフレは引き起こされると考えられています。
インフレはその原因や度合によって、いくつかの種類に分けられます。
まず原因による分類では、デマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレに分けることができます。
デマンドプル・インフレは、需要が供給を上回ることにより生じる物価上昇で、好景気の時によくみられます。
コストプッシュ・インフレは、人件費や燃料・原材料費あるいは、為替相場の変動などによって、生産・販売コストが上昇したとき、その上昇分が製品価格に転嫁されることで生じる物価上昇です。
また、労働力や土地、資本など、特定の生産要素が不足することにより、生産が需要に追いつかなくなることで生じる物価上昇をボトルネック・インフレ(隘路インフレ)と呼びます。
ちなみに不況下でインフレが生じることをスタグフレーションといいます。
物価上昇の度合いによる分類では、緩やかに物価が上昇(年数%程度)するクリーピング・インフレ、急激に物価が上昇(年10~数10%程度)するギャロップ・インフレ、超スピードで天文学的な額まで物価が上昇(年100~青天井)するハイパー・インフレにおおむね分けられます。
戦後日本でのインフレといえば、終戦直後のハイパー・インフレ、1970年代のオイルショックに端を発する狂乱物価、1980年代後半~90年代初頭にかけての、投機マネーが土地や株などの資産価格を暴騰させたバブル経済、といったあたりが代表的なところでしょうか。
現在、莫大な国家債務を抱えている日本は、ハイパー・インフレと隣り合せといわれています。ちょっと買い物に行くのにも、リュックやバックに札束を詰めていくような未来は、御免こうむりたいですね。