WTOとは、World Trade Organizationの略称で、世界貿易機関のことです。
GATT(ガット=関税及び貿易に関する一般協定)体制の下で行われたウルグアイ・ラウンド(1986年~1993年。貿易の自由化や多角的貿易を促進するために行なわれた交渉)の合意を受け、「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定」に基づき、GATTを発展的に解消する形で、1995年1月に設立されました。
本部はジュネーブで、2016年1月現在、世界162の国と地域が加盟しています。
WTOは貿易の自由化や多角的通商体制の確立などを基本原則としています。
工業製品や農産物などのモノだけでなく、情報通信や金融などのサービス分野や知的財産権なども含めた、広範囲で包括的な国際通商のルールを協議して決めたり、加盟国間の貿易交渉の場を提供したり、また貿易に関する国際紛争を処理する手続きも定められています。
GATTは、あくまで協定(agreement)で、暫定的な組織として運営されてきましたが、WTOは正式な機関(organization)として発足しましたから、GATTに比べて、既存の貿易ルールの強化や新ルール策定などの機能や国際紛争処理能力などが強化されています。
世界恐慌後の国際経済のブロック化、保護主義的な貿易政策が第二次世界大戦の要因のひとつとなったことから、そのことを教訓として、戦後、ガット体制が発足し、そしてWTOが設立されて、自由貿易を促進してきました。
しかし現在各国は、表向きには国際舞台で自由貿易の促進を謳っていますが、実際は国際的に保護貿易の動きが強まってきています。また、ドーハラウンドの難航にもみられるように、WTOの舞台での先進国と新興国の利害の対立も深刻化しています。